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日本の現場力はなぜ衰退したのか? 再生への道

  • 執筆者の写真: 守 西川
    守 西川
  • 2024年9月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年9月30日

日本製造業の現場力低下と、実行力の重要性

 

「日本の現場力が死んだ」という言葉が現実を映し出すように、かつて世界から注目された日本の製造業の現場力が失われつつあるという危機感が高まっています。遠藤功氏の『新しい現場力 再生編』でも指摘されているように、現場力が失われることは、企業の競争力低下に直結します。

 

ピーター・ドラッカーが称賛した日本の現場力とは、現場に知識を持つ労働者が存在し、実行力が高いことを意味します。しかし、現在の日本企業では、この実行力が低下しているという指摘が多くみられます。

 

遠藤氏は、日本企業が世界で存在感を示すためには、「実行」にこだわり、競合他社の追随を許さない「深さ」の追求が不可欠だと述べています。経営者の意思決定を迅速かつ確実に実行に移す力が、企業の成長を左右するのです。

 

実行の難しさ、そして新入社員への期待

 

私が実際に現場改善を行った経験から、この「実行」の難しさを痛感しました。そのため、新入社員には早い段階からこの難しさを経験してもらうことにしていました。

 

「あなたの給料の3倍の成果を出してほしい」という高い目標を新入社員に掲げ、現場に送り出しました。トレーナーとともに現場の課題を把握し、改善案を立案することは比較的スムーズに行えます。しかし、実際にその改善案を実行に移す段階で、多くの困難に直面します。コミュニケーションの不足からくる現場の抵抗感が噴出して改善が頓挫したりすることもたびたびです。しかし、この経験が、新人にとっては成長の良い機会なのです。

 

現場力は変わっていない? 問題は別のところに

 

たしかに現場力は低下していると言えますが、今も昔も現場が持つ能力は変わっていないと私は思います。

問題は、その現場力を引き出す側にあるのではないでしょうか!

 

例えば、システムを現場に導入する際、どれくらい現場を巻き込み、試行錯誤ができているでしょうか?バーコードリーダーを導入する場合、どこに置くのか、携帯するのか、といった具体的な運用方法は、作業者にとって非常に重要です。しかし、現場にバーコードリーダーを渡すだけで、運用方法を任せてしまうケースが少なくありません。つまり、システムを与える側と使う側に分かれてしまい、実行段階で現場に丸投げになってしまうケースがあるのです。

システムを作ることが目的ではありません。

「システムを導入して立ち上げ、成果を出していく」ここが難しいのです。

 

実行力こそが競争力の源泉

 

VUCAの時代、予測不能なことが連続して発生します。その時、瞬時に対応していく力、つまりダイナミックケーパビリティが差別化のポイントだと言われますが、これこそが実行力であり、遠藤氏の言う「深さ」だと思います。

 

現場力を復活させ、実行力を上げるには、もう一度現場で「実行する」ということの難しさを認識することから始めるべきではないでしょうか?

 
 
 

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